2026年3月10日、TalentCorp主催により、外国人高度人材向け制度「Residence Pass-Talent(RP-T)」の最低給与要件見直しに関するフォーカスグループディスカッションが開催されました。本会合は、Employment Pass(EP)制度の給与基準改定を受け、RP-T制度との整合性を確保しつつ、マレーシアにおける優秀な外国人材の確保・定着を目的として実施されたものです。
近年、EPの最低給与基準が引き上げられたことにより、RP-Tとの制度間の整合性に課題が生じています。このままでは、制度の信頼性や魅力に影響を及ぼし、国際的人材獲得競争において不利となる可能性が指摘されています。
RP-Tは、高度な専門性を有する外国人材を対象とした長期滞在制度であり、以下の特徴を有しています。
1.給与基準の柔軟化
現行のRM15,000という基準は一部業種において高すぎるとの意見があり、業種別・職種別に応じた柔軟な設定の必要性が指摘されました。
2.EP制度との整合性確保
EPの新たな給与基準(例:RM20,000)とのバランスを取る必要がある一方で、RP-Tが過度に取得しやすくなることへの懸念も示されました。
3.人材誘致への影響
高すぎる給与要件は、特にAIや再生可能エネルギー分野などの成長分野において、優秀な外国人材の流入を妨げる可能性があるとの指摘がありました。
4.企業側の視点
特に中小企業にとってはRM15,000の給与水準が負担となっており、成長産業への投資を後押しするための制度的インセンティブの必要性が議論されました。
提案された見直し案としては、まず業種別基準の導入が挙げられ、IT、製造、教育など分野ごとに異なる最低給与を設定することで、実態に即した柔軟な運用が可能になる一方、制度管理が複雑化する懸念が指摘されました。次に、経験年数に応じた基準設定も提案されており、例えば経験5年未満はRM12,000、10年以上はRM18,000とすることで若手人材の誘致に寄与することが期待される一方で、不公平感が生じる可能性もあります。さらに、EPのTierに連動してRP-Tの基準を設定する案も示され、制度間の整合性を高めるメリットがある反面、EP制度の変更に影響を受けやすい点が課題として挙げられました。
今後は、制度見直しに伴う影響を多角的に評価していくことが重要とされており、人材流入数や企業満足度などの観点から政策変更の効果検証が求められます。また、RP-T申請者の国籍や業種、給与分布といったプロファイル分析を通じて、制度の実態把握と課題の明確化を進める必要があります。あわせて、円滑な制度運用に向けた法的整備および制度周知の強化も重要なポイントとして挙げられました。さらに、ステークホルダーや既存のRP-T保有者との継続的なエンゲージメントを通じて、現場の声を反映した実効性の高い制度設計が期待されています。
当所としては、今後の制度見直しにあたり、会員企業の実態やニーズを的確に反映することを重視し、引き続き関係機関との対話に積極的に関与してまいります。特に、給与要件の見直しが人材確保や事業運営に与える影響については、会員企業からの意見収集を行い、政策議論の場において適切に発信していく方針です。
また、RP-T申請者の傾向や制度利用状況の把握に努めるとともに、制度変更に関する最新情報を適時会員企業へ共有し、円滑な対応を支援してまいります。加えて、既存のRP-T保有者や関連ステークホルダーとの意見交換を通じて、より実効性の高い制度設計に寄与することを目指します。
以上