坂本 尚
(Canon Electronics (Malaysia) Sdn. Bhd.)
2025年度ペナン地域部会長を拝命致しましたCanon Electronics (Malaysia) Sdn. Bhd.の坂本 尚(さかもと たかし)と申します。2023年11月に赴任し、初めての海外赴任となります。駐在期間が長くなる可能性もあるので、JACTIM会員の皆様、どうぞ末永くよろしくお願い申し上げます。
JACTIMペナン地域部会は、2024年からペナン三水会と一緒に合同開催する形式を取っております。ペナン地域の日系企業や出向者が減少傾向にある中、JACTIM加盟企業とペナン三水会加盟企業が交流する場を設けられる事となり、双方の連絡事項・依頼事項の周知と共に、会員企業間の情報、意見交換が行える有意義な会合となっています。会合には90名程の参加者が集まるようになっており、合同開催により会合が活性化しております。
2024年度は新型コロナウイルスの変異株であるKP.3株が世界的に主流になりつつも、全体的には感染症が落ち着きをみせてきた年となり、社会活動における制約は大幅に緩和され、企業や社会が日常の活動を取り戻してきた年であったかと思います。
ペナン部会の2024年度の活動においても、4月、7月、11月の3回とも、対面形式で開催に至りました。各回に講師をお招きし、7月が「生成AIにより成長が加速する半導体市場の現状と展望」、9月が「ビザ関連情報」、11月が「電子インボイスの施行後について」といったテーマで講演を行って頂きました。半導体のサプライチェーンにおける後工程に強みをもつマレーシアひいてはペナン地域の位置づけ、日本人が出向するにあたりビザ取得に必要な手続きと現状の手番と注意点、電子インボイス施工により企業がどのような対応をしないといけないのか、といったミクロとマクロの両方の視点で情報共有する事が出来たのではないかと思います。
ペナン州で進められているLRTムティアラ線計画について、2025年1月に起工式が行われ、10年以上前に始まったプロジェクトが、計画実現に向けて大きな一歩を踏み出しました。用地取得も計86区画で完了済みで、2031年全線開通に向けて始動しております。この路線は、開発中のシリコンアイランド、ペナン空港からジョージタウンを結び、海峡を越えて半島側のペナンセントラルまでの間を繋ぐ全長29.5kmに渡る大規模な公共交通インフラ工事で、交通渋滞を緩和し、住民や観光客の移動を円滑にする事が見込まれます。 ペナン地域では都市開発の一環で、各地で埋立工事も行われております。米中対立の環境下で、中立志向を維持するマレーシアは、半導体産業の受け皿としての注目度が増しております。国策として半導体産業の誘致活動を進めていて、世界の半導体売上高の5%を占めるまでに至っております。第2ブリッジの近くでの埋立工事は、「シリコン・アイランド」の開発を進め、更なる拡大を目指しています。ペナン第1ブリッジの近くでは、「The Light City」の工事が佳境を迎えおり、ショッピングモールや国際会議場が建設され、今後、展示会や国際会議、コンサートの誘致が見込まれます。ガーニードライブ沖合にも人口島の開発が進んでおり、コンドミニアムの建設が急ピッチで進んでおります。赴任当初の1年半前は更地でしかなかったのですが、今ではコンドミニアムの躯体工事の完成間近に来ており、時の経過の早さに驚いております。
【写真上:夕日に沈むガーニードライブ沖合の埋め立て開発地】
都市開発が進み、工業や観光産業の発展と居住環境の改善が期待される一方で、コロニアル建築が残るジョージタウンのような「世界遺産地区」、ユネスコに登録されているペナンヒルのような「生物圏保存地域」、これらの保全・保護も必要となります。サステナビリティの観点からペナンがどのように発展していくのかに着眼しながら、生活していくのも興味深いものがあります。
E-INVOICE制度の導入や、SSTや印紙税の改正、最低賃金の上昇など、事業環境の変化が大きく、企業としての投資やコスト増が続いているのではないかと感じております。会合を通して最新の動向を情報共有すると共に、各社が抱える悩みをキャッチアップして、それらに関して提言する事で、駐在企業にとってメリットが見いだせるようにしていきたいと思っております。海外赴任経験も浅く、微力ではございますが、JACTIMペナン地域部会の発展と会員企業の皆様の事業支援に尽力してまいります。また、会員の皆様には何卒ご支援賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
以上