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日馬をつなぐビジネスマガジン

気候危機はビジネスリスクか、成長機会か
― マレーシアの脱炭素政策と日系企業に求められる次の一手 ―

【当日のスケジュール】

時間内容
15:00-15:05開会/講師紹介
15:05-16:15ご講演
16:15-16:30Q&A
16:30閉会

【このウェビナーで得られる主な視点】

  • 世界の気候危機の最新動向を、ビジネス・生活・都市インフラの視点から理解できます。
  • マレーシアの脱炭素政策、NDC 3.0、NETRなどが日系企業に与える意味を把握できます。
  • 東京・クアラルンプール・さいたまの都市間連携が、現場でどのような成果につながりつつあるかを学べます。
  • 省エネ、再エネ、建物、交通、ESG、サプライチェーン対応を「次の一手」として考えるきっかけになります。

【セミナー実施の背景】

近年、世界各地で深刻な熱波、豪雨、洪水、干ばつ、森林火災が相次ぎ、気候変動はもはや遠い将来の環境問題ではなく、企業活動、都市インフラ、サプライチェーン、金融、保険、そして私たちの日々の生活に直接影響を及ぼす「現在進行形のリスク」となっています。2023年7月には、国連のアントニオ・グテーレス事務総長が「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と強い警鐘を鳴らしました。さらに世界気象機関(WMO)は、2024年が観測史上最も暑い年となり、世界平均気温が産業革命前比で約1.55℃高かったと発表しています。

気候科学の面でも、危機感は一段と明確になっています。IPCC第6次評価報告書統合報告書は、人間活動による温暖化がすでに広範な影響と損失・損害をもたらしており、1.5℃目標の達成には、この10年の大幅かつ迅速な排出削減が不可欠であることを示しています。COP26では1.5℃以内に抑える努力を追求することが確認され、COP28では初めて「化石燃料からの移行」が合意文書に明記されました。COP29では途上国向け気候資金の新たな目標が合意され、2025年のCOP30を経て、国際社会は「目標を掲げる段階」から「実装を加速する段階」へと移りつつあります。

マレーシアにおいても、脱炭素化は国家戦略・産業政策の重要テーマとなっています。マレーシアは2050年ネットゼロを掲げ、国家エネルギー移行ロードマップ(NETR)では、再生可能エネルギー導入比率を2050年に70%まで高める方向性が示されています。また、マレーシアは2025年に新たな温室効果ガス削減目標を国連に提出し、温室効果ガス排出量を2029年から2034年の間にピークアウトさせ、2035年にはピーク水準から15~30百万トンCO2換算の削減を目指す方向性が示されました。これは、エネルギー、建物、交通、産業、都市インフラ、金融の各分野において、具体的な行動が求められることを意味します。

マレーシアで事業を展開する日系企業にとって、気候変動対応は、環境担当者だけのテーマではありません。電力価格や燃料価格、工場・オフィスの省エネ、再生可能エネルギー活用、ESG情報開示、サプライチェーンからの要請、グリーン調達、地域社会からの信頼形成など、経営そのものに関わる重要課題です。同時に、脱炭素はコスト削減、競争力強化、新たなサービス・技術展開に結びつく成長機会でもあります。

こうした中で、国家間交渉だけではなく、都市や企業の現場で実際に排出削減を進める「都市間連携」の重要性が高まっています。東京都とクアラルンプール市は、2019年から建物部門を中心とした都市間連携を開始し、東京都が培ってきた建築物の省エネ制度、キャップ&トレード、公共施設のエネルギーマネジメント等の知見を、クアラルンプール市の低炭素政策に活かす取り組みを進めてきました。2022年度からは、さいたま市も加わり、脱炭素街区づくりや地域での実践的なノウハウが共有されています。クアラルンプール市は、ASEANの首都都市の中でも先駆的に2050年カーボンニュートラルを掲げており、この連携は、日本とマレーシアが都市の現場から脱炭素を進める象徴的な取り組みとなっています。

今回の緊急ウェビナーでは、公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)戦略マネージメントオフィス プリンシパル・シナジー・コーディネイター/上席研究員である藤野純一博士をお迎えし、地球温暖化の歴史と最新動向、国連・各国・マレーシアの政策の流れ、そして東京都・クアラルンプール市・さいたま市による都市間連携の具体的な進展について、わかりやすくお話しいただきます。藤野博士は、2005年のCOP11以降、国際交渉の現場に継続的に関わり、アジアの国・都市における脱炭素社会シナリオづくりや、東京・KL都市間連携の推進にも深く携わってこられました。

藤野博士には、2021年1月および2022年9月にもJACTIMにて「ポストコロナの脱炭素・地球環境」をテーマにご登壇いただいております。また、2024年8月および2025年8月には、さいたま市の清水勇人市長とともにJACTIMクアラルンプール事務局をご訪問いただき、マレーシアにおける都市間連携の進展を共有いただいております。今回のウェビナーは、その後の国際情勢、マレーシアの政策動向、都市間連携の成果を踏まえた、まさに「最新版」の機会となります。

気候危機をビジネスリスクとして正しく捉えつつ、それを成長機会へと転換するために、いま企業と都市は何をすべきか。マレーシアで活動する日系企業の皆様にとって、脱炭素を競争力、コスト削減、地域社会との信頼形成、将来のビジネス機会として捉えるためのヒントを得ていただく機会として、ぜひ多くの皆様のご参加をお待ち申し上げます。