マレーシア日本人商工会議所
鳴釜 宏充
マレーシア日本人商工会議所 会頭
(マレーシア 三井物産株式会社 社長)
マレーシア三井物産の鳴釜でございます。
40年以上の歴史と伝統あるマレーシア日本人商工会議所の会頭を務めさせていただくこと、また、皆さまからのご推挙を賜り、大変光栄に存じますとともに、その責任の重さを改めて実感しております。
私自身としては、2023年よりJACTIMの活動に携わり、副会頭や各委員会での活動を通じて、会員企業の皆様とともに歩んでまいりました。今後は、先人が築き上げてこられた取り組みも大事に育みつつ、より一層JACTIMの発展と会員企業の皆様の事業支援に尽力してまいります。甚だ微力ではございますが、重責を全うすべく全力を傾けて参る所存でございます。会員の皆様には何卒ご支援賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
さて、2025年、マレーシア経済は引き続き堅調な成長が期待されています。政府は「マダニ・エコノミー(Madani Economy)」を掲げ、外国直接投資(FDI)の拡大やデジタル化の推進等を重点施策として進めております。
また、製造業やサービス業の高付加価値化、グリーンエネルギーの活用、半導体、AIなどハイテク産業の成長が注目されており、日系企業にとっても新たなビジネスチャンスがあるとも言えます。
加えて、2025年はマレーシアがASEAN議長国を務める重要な年でもあります。ASEAN経済共同体(AEC)としての更なる連携やサプライチェーンの強化、地域の貿易自由化の推進が期待される中、日系企業としてもASEAN市場でのビジネス拡大を図る絶好の機会です。JACTIMとしても、ASEAN議長国としてのマレーシア政府の取り組みに注目しつつ、ASEAN諸国の日本人商工会議所とも連携しながら、会員企業の皆さまのビジネスチャンスの最大化を支援してまいります。
そういった中でも、最低賃金の引き上げや人材不足、電気料金の値上げなどによるコスト増など、われわれ日系企業にとってもチャレンジングな点も山積しております。
このような環境下において、本年のJACTIMの取り組みといたしましては、JACTIMのミッションである「会員企業の交流とビジネス支援」、「政策研究と意見発信」、「日系企業によるマレーシア経済(振興)貢献」 に資する活動を、部会や委員会を通じて、会員企業の皆様の声をより広く集め、より多くの方たちの議論を通して運営や事業、情報共有を進めて参りたいと考えております。
皆さまからも非常にニーズが高い交流会、ネットワーキング事業もより力を入れてまいります。4月2日からは、JACTIMも新オフィスに移転し、皆さまがより集まりやすい環境を整えることができました。この新オフィスを活用しながら、様々な交流の場、機会を創出してまいりたいと考えております。会員間での交流はもちろんのこと、これまでJACTIMとして接点が少なかったローカル企業やスタートアップ企業など、異分野、異業種、異文化間での交流の機会もこれまで以上に作っていければと思います。
また、JACTIMの活動の支柱ともいえる、政策要望活動においては、事業環境委員会を中心に、ポジションペーパーの中身を更に充実していくとともに、これまで以上にしっかりと、要望を政府、関係機関に届けていく、そのためにも、より能動的、計画的に関係省庁との対話を増やしていくことにも取り組んでまいりたいと考えております。ポジションペーパーは会員の方々が抱える課題と、JACTIMとしてのスタンス、関係機関への要望等を纏めたのです。
マレーシア経済が大きな変革期を迎える中、約630社の会員企業で構成されるJACTIMの役割はますます重要になっております。マレーシアの動きや新たな政策の変化を的確に捉え、会員企業の皆さまとともに、そしてマレーシアのビジネスコミュニティとともに、成長を続ける組織を目指してまいります。マレーシアの経済発展にも貢献することによって、日系企業、ひいてはJACTIMプレゼンスも更に向上していくものと期待します。
最後になりますが、「内にあっては和の精神、外に対しては謙虚な気持ち」は JACTIM のスローガンですが、それを堅持し、一方で「変化なくして進歩なし」とも言われますが、常に継続的改善を志向し、果敢に変革や新しい価値を作り出していきたく考えます。「会議所」と言われる所以は、人が会って、談義し、何かをする・作る・生み出す場所ということかとも思います。より集まりやすく、仕事や生活における気づきやヒントを得る会議所、仕事やネットワークが広がる会議所、そして対外発信も効果的に行う会議所にしていく所存です。
様々な会員の皆様が志をもってマレーシアで仕事をしており、そうした志を持った方たちが集まり、議論し、問題があればそれを解決する、そして仕事を作る、伸ばす、斯様なビジネス活動を通じて、そしてJACTIM Foundationも通じて日本マレーシアのビジネスコミュニティに貢献する、そうした組織であり、よりそのような存在であり続ける為にその一員として、皆様と共により良い未来を築いていけるよう努めてまいります。
JACTIMは、皆さまの声を大切にし、共に考え、共に行動する組織であり続けたいと思っております。今後とも、皆さまのご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
以上