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日馬をつなぐビジネスマガジン

2025年4月8日(火)、マレーシア国際貿易産業省(MITI)にて、「トランプ関税」に関する影響と対応を主題としたダイアログが開催されました。本会議にはYBザフルルMITI大臣をはじめ、KSU(事務次官)、TKSU(副事務次官)、MIDA(マレーシア投資開発庁)、MPC(生産性公社)、MATRADE(貿易開発公社)など政府関係機関のほか、国内の主要産業団体および一部海外商工会議所が出席し、今後の政策対応に向けた意見交換が行われました。

◆ 会議の背景と目的

世界経済の不確実性が増す中で、トランプ前大統領の再出馬および保護主義的な政策が再び注目を集めており、特に関税強化によるマレーシア経済への影響が懸念されています。今回の会議では、産業界からの現場の声を政府が直接聞くことで、マクロ的な視点から現状を把握し、今後の政策検討の基礎とすることを目的に開催されました。

◆ トランプ関税の経済的影響

複数の参加者からは、米国市場に依存する製造業および中小企業にとって、追加関税は大きな負担になるとの声が上がりました。特に、輸出業者にとっては価格競争力の低下や契約打ち切りリスクが現実のものとなっており、サプライチェーン全体への影響が懸念されています。

◆ 政府による支援策の必要性

YBザフルル大臣は、こうした状況に対して「ドミノ効果が起きうる」と警鐘を鳴らし、影響を受けやすい産業に対しては一時的な税の軽減や財政的な支援措置の検討が必要であるとの見解を示しました。特に、収益減や雇用への影響が見込まれる分野には、迅速かつ具体的な対応が求められています。

また、大臣は「私たちは皆、同じ船に乗っている」と述べ、政府と民間が連携してこの難局を乗り越える重要性を強調しました。会議では、4月14日(月)9:30より民間企業も参加するタスクフォースを立ち上げることが発表され、今後の議論のプラットフォームとして機能する予定です。

◆ 産業界からの発言

  • US-Malaysia Business Council:契約終了に伴う売上減への対応として、緊急の支援措置の導入を提言。
  • Chinese Semiconductor Company:影響の度合いは業種によって異なるため、客観的なデータに基づいた評価が必要であると発言。
  • ACCIM(中華商工会議所):支援は公平性を重視すべきであり、危機を利用した過度な要求は避けるべきと指摘。
  • Local AI Company:政策と規制の整備を通じて、地域経済の調和と持続可能な貿易環境の確立を目指すべきと強調。

◆ 今後の展望

本会議は、政府と民間企業が率直な意見交換を行う貴重な機会となりました。今後、設立されるタスクフォースを通じて、具体的な政策提言や支援策の検討が進むことが期待されます。

JACTIMでは、今後も関係当局との連携を強化し、会員企業の声を政策に反映させるべく、引き続き活動を進めてまいります。                                   
 

 以上